イネス・マリャリ博士 旭日中綬章の叙勲授与式

2022716日、令和3年秋の叙勲で旭日中綬章を授与されたイネス・ヤマノウチ・マリャリ博士(51才)の叙勲授与式がミンダナオ島ダバオ市dusitD2 Davao Hotelにおいて開催された。イネス氏は、現ミンダナオ国際大学学長、フィリピン日系人連合会会長。功労の概要は「日本・フィリピン間の学術交流及び相互理解の促進に寄与」。叙勲は113日付で発令されていたが延期になっていた。

 

左から石川義久在ダバオ総領事、イネス・ヤマノウチ・マリャリ氏、アントニーナ・エスコビリヤ元判事、猪俣典弘フィリピン日系人リーガルサポートセンター代表理事

イネス・マリャリ博士はダバオ市出身の日系3世。2001年からフィリピン日系人会学校の校長に就任、以後ミンダナオ国際大学の設立(2002年)に関わり、ミンダナオ国際大学学長(2010年~現在)と日本語教育など日本と関わる教育活動を推進するとともに、フィリピン日系人連合会会長(2012年~現在)として日系人の国籍回復にも精力的に尽力されてきた。

石川総領事挨拶

外務省在ダバオ総領事館の石川義久総領事は、「3世として日系人の地位向上、さらに若い世代へのスポーツや音楽を含む教育的支援を通じて日比の二国間の友好関係強化に貢献されてきたた。日系人会連合会会長としても、日本人の子孫に対して積極的にインタビューを行い国籍回復に努めて来られた。また毎年恒例のダバオ市における慰霊祭を組織し支援しておられる」等を受賞の理由に挙げ、表彰状、メダル、花束を贈呈した。

 


 


イネスさんは「天皇陛下によって公認された旭日章を授与されることた大変な栄誉と感じております。70才位の方の叙勲が多い中で私は最も若い一人であることを嬉しく思います。日本人の血は受賞の要件ではありませんが日本人の誇りをより強く感じます。この受賞を原動力にして、日系人の地位をさらに高める活動をしていきたい」と挨拶した。



日本の外務省、大使館、総領事館への感謝も述べられた。石川総領事は20224月にダバオに赴任してきたばかりであるが、既に2016年に石川氏がミンダナオ国際大学を訪問されたこと、また2017年に東京において案内していただいたこと、さらに石川氏は日系人に対して関心を示されておられ運命を感じるとコメントした。またダバオ総領事館として日系人や教育施設へ支援が優先順位にあることに同僚と非常に喜んだと述べた。


これまで長年支えてくれた以下の人に特に感謝の言葉を述べた。

・ダバオ生まれで自分を娘のように支援をしてくれた内田達夫氏“内田お父さん”。
・日本フィリピン企業協議会(JPIC、徳光義弘代表)
・日本フィリピンボランティア協会(JPVA、網代正孝元会長)
・フィリピン日系人リーガルサポートセンター(PNLSC、代表理事猪俣典弘)
・日本財団
・国際交流基金

感謝の言葉は、フィリピン日系人会、フィリピン日系人会インターナショナルスクール、ミンダナオ国際大学の同僚へと移り、学業以外の多くの行事の準備に共に犠牲にしてきた皆で取った賞であることを述べた。


日系人会及び日系人会インターナショナルスクールの同僚と

ミンダナオ日本人商工会関係者

また現代で最も影響力があり日系人に親切に接してくれた安倍首相への祈りを捧げられた。2015年、安倍首相はイネス氏らを迎え国籍の無い日系人の調査を陳情し、その結果外務省はイネス氏らによる調査に急いで関わり始めた。天皇の即位の礼にもイネス氏は選ばれた(他2名はドゥテルテ大統領、サラダバオ市長当時)。「日系人会インターナショナルスクール及びミンダナオ国際大学に安倍首相が訪問された際の感動は忘れることが出来ない。今回の事件で日系人コミュニティのみならずフィリピンは友人・支援者であり偉大なリーダーの喪失に悲しんでいます」と悼んだ。


さらに、安倍首相の栄光及び日本政府の親切さに応えるため、この叙勲を原動力として、日系人のさらなる地位向上のための新しいプログラムにも取り組むこと、質の高い教育を提供し、フィリピンと日本の架け橋になるリーダーを育て続けていくことを決意を表明した。

長年、日系人の身元捜し国籍確認に尽力してきた猪俣典弘(52)氏(フィリピン日系人リーガルサポートセンター代表理事)は、「これまでは日系2世でも功績のあった方が受賞されてきたが戦後の精算という側面があった。イネスさんは3世で次世代を育てる未来志向もある」と意義を語った。

左から石川総領事、イネス・マリャリ博士、猪俣典弘フィリピン日系人リーガルサポートセンター代表理事

式典にはイネスさんの親族のほか日系人会インターナショナルスクール、ミンダナオ国際大学、ミンダナオ日本人商工会、大使館及びダバオ総領事館、マスコミ関係者ら約50名が招待された。




追記1

安倍首相とは4回ほどしかお会いしたことがありませんが、とてもエネルギーがあってまた周囲に気を遣っておられる方でしたと語った。




日系人会インターナショナルスクール関係者とSun Star紙記者
私もこのテーブルでしたが撮影しています。

成功裏に終わりました。
大変素晴らしいセレモニーでした。

個人的には、イネスさんが受賞を原動力として、さらにハードワークして日系人の地位を向上させると決意を表明したことが印象に残りました。

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