海士町へ行ってきました(2) 承~結:海士町での見聞と私の活動
海士町訪問
期間:2021年7月1日~4日
海士町スケジュール(2021年7/1~7/4) 緑:観光 オレンジ:地元の人との交流 赤:セミナー、コーヒー振る舞い |
海士町訪問の目的
1)町の活動や地域コミュニティの様子知りたい。
区、組や班と呼ばれる自然村レベルの活動と行政(町)の連携
2)Iターン者の受け入れ
特に、区、組や班と呼ばれる自然村レベルでの受け入れ状況
3)少子高齢化の進むコミュニティにおいて参加型地域社会開発(PLSD)が応用出来るか考えたい。
4)フィリピンコーヒーの宣伝。これが1番でないとダメでしょうという声もありますが。
有名な町なので様子は気になります。さらにIターン者が多い(400/2400人中)という割合で、いかに地元のコミュニティに受容され、またIターン者が起業した会社に地元の人が雇用ないし参画されておられるかに興味がありました。
また私は発展途上国という人口増加中の国での経験しかないので、逆に少子高齢化の進む日本の地方において、これまで学んできた「参加型地域社会開発:PLSD」のアプローチがどの程度有効なのだろうかということを考えてみたかった。また可能であれば情報交換をして、今後交流が持てれば良いと考えていました。
コーヒーの営業に関しては、海士町でもミンダナオ島のコーヒーを愛飲して下さる方がおられるので、そのご挨拶。折角なので楽しい時間を過ごしてもらおうと。講演の時間を作って頂いたのですが、話を聞くだけでは退屈なので実物を飲んで一種の経験もしてもらおうと。実際に隠岐國学習センターでは今までにないくらい美味しいコーヒーが淹れられたので参加者の若い方々には良い経験になったものと信じています。
さて、簡単に結果をまとめます。
結論
1.人口減少への対応
教育事業(島留学、全寮制)で全国から学生を募集
親も来る。多様性のある高校へ。
教育で島の魅力を高め、よりIターン者が増える好循環。
2.産業育成
CASシステムへ投資→ブランド力
以前は松江や大阪で売っていたが、東京に進出しでブランド力をつけた。
産業をベースにした町おこし。
3.Iターン者と既存住民の関係
まず、住民の方がよそ者に温かく紳士的。これは意外でした。
温暖で歴史的によそ者を受け入れてきた風土あり。
区、組の行事にIターン者は参加している。
Iターン者のビジネスで既存住民が雇用されている例は聞かれなかった。
4.PLSDが貢献出来る可能性
中学校の探求授業における社会調査方法として→行政へ反映
ITシステム(RESAS)へ将来の追加コンポーネント
他に可能性はあるかもしれない。
5. コーヒー営業
収穫後に空輸し、焙煎5日目の新鮮なコーヒーを提供。
高校生からこれまで飲んできたコーヒーとは違うという意見が聞かれた。
(事前に、コーヒーは苦手、飲めいないという人が多いと聞いていた。)
小学校跡や中央図書館でもフリーコーヒーで楽しんで頂きました。
売上に繋がった、ということは残念ながらない。
(海士町に来れたことが収穫なので、それは良い。)
雑感
・自然が豊かです。海が透明で臭くありません。
海洋生物を育みやすい地形をしており資源が豊か。
・ブランド牡蠣「春香」は築地で最高値。専門家を雇用して養殖。
海が綺麗で勝算もあるのかなと。
https://www.facebook.com/amaiwagakiharuka
・子育てに良い。大人が優しく、見習って中学生が小学生の面倒を見たりしている。
・教育事業と産業振興に力を入れておられる。
観光にしても案内や商品開発など思いつく限りの努力をしておられる印象。
・離島なので医療や老後を迎えるにあたっては心配あり。
・歴史で後鳥羽上皇を島民が尊敬しているという共通の価値規範を持つ。
特に来年は、NHKドラマ「鎌倉殿」でラスボスが後鳥羽上皇。
海士町いや隠岐4島は盛り上がるでしょう。
7/1
海士町にもうすぐ着く。海がきれい。 |
菱浦地区の名士の方に挨拶。右はアレンジしてくださったS本さん。 |
・H17(2005)年頃、修学旅行の行き先を東京にした。
・一橋大学 関満博(専門は産業論、中小企業論、地域経済論)町つくりの先生
・コンサルタント(ビジネス)
とコネができた。
・東京からの出前授業やAMAワゴンが始まった。
・イノベーションが始まり、あらゆることが起きていった。
AMAワゴン(都市農村交流事業)
http://megurinowa.jp/activities/2011/01/ama.html
背景:大学、専門学校がないため若年層に子供が接する機会がない。
目的:島の子供の人間力を高める教育及び海士町ファンを島内外に作ること。
方法1:AMAワゴンと呼ばれるバスで都会の人を海士町に呼ぶ
海士町中学校と島前高校においてAMAワゴン参加者を講師に「出前授業」
成果1:交流を通じて島の子どもたちに未来のビジョンを描いてもらう。
方法2:都市住民に島での生活体験をしてもらう。
都市住民に海士町の郷土料理などを食べてもらう。
成果2:海士町の安心な産物の理解者・購買者になってもらう。
・ 第一次産業の活性化
インパクト:Iターン者が増えた。様々なイノベーションが起こった。
私のインタビュー後、住民同士の情報交換が始まる。 |
元教育委員長で地元名士のS氏の話続き
人口2,400くらい、そのうちI ターンは400。
生産人口は、Iターンの方が多い。
人口減→頼らざるを得ない。伝統の維持も頼らざるを得ない。
応仁の乱以後、移動が増えた。海で交流が盛んだった。
後鳥羽上皇もIターン。
自分の先祖もIターン(→よそ者を排除しない風土が海士町にはある。)
海士町のホテル ento |
7/1が改装オープン日 |
載せきれないほど、花多数 |
教育やふるさと納税を推進するO野氏にお話を伺った |
O野さん
(話が面白くて、肩書も聞かずにインタビューをはじめてしまいましたが、後で確認したところいくつかの肩書・所属があるようです)
一般財団法人島前ふるさと魅力化財団
学校経営補佐官
AMAホールディングス(町からの委託)
ふるさと納税:3,800万円→1億2000万円
返礼品 80→300種へ
税金→「海士町未来投資基金」→一般財団法人へ
【夢】
イノベーションののろしを上げる。
1)固定している仕組みを変える(行政、交付税、地方議会、土地所有、資本主義)
2)未利用資源を発掘し扱う島の商社の設立
3)島前高校→町立にしたい
直近のニュースで島前高校において、日本初となる地域創生科が設立されることになりました。
島前高校の寮 |
「B&Bあとど」の付近から菱浦港を撮影 |
「B&Bあとど」の部屋 ドライヤーはパナソニックのマイナスイオンが出るもの。 清潔でアメニティも十分揃っている。 |
「B&Bあとど」の部屋 海士町関連の書籍がおいてある。 |
「B&Bあとど」の朝食 コロナのため各自部屋に持ち帰って頂きました。 お茶類は、1日1杯は無料。 |
「B&Bあとど」の図書 図書館分館になっています。 |
「B&Bあとど」の外観 |
「B&Bあとど」の前 透明度が高く、海の臭さがない。魚が見れます。 |
隠岐4島で唯一稲作が盛んに行われる |
日須賀へ向かう |
日須賀 |
透明度高い |
日須賀2 |
日須賀にあるコワーキングスペース 喜多屋(外観) |
コワーキングスペース 喜多屋(内観) 眼前が海。 |
喜多屋の別室(古民家) |
コワーキング 喜多屋 管理人Mさん 広告・クリエーターが本業。作品も多数。 コワーキングスペースは、アクセス、空間、自然環境、管理人の人柄 |
紳士的な区長(高倉健似) |
インタビューメモ
1)M区におけるIターンと既存住民の関係について
Y区長
「いいよ」(即答)
「Iターンには助けてもらっている」
「組には入れる。1家、1加入。シェアハウスは1家とカウント」
「話はする」
「Iターンは仕事を持っている」
「Iターンと既存住民が共同で行っている仕事はM区にはない」
区として諸機能を果たす。 区関連資料も多数保管。 |
【M区プロファイル】
人口:136人(30人がIターン)
地区は、DとFに分かれる。
基本的に1地区1神社。このM区のみDとFにそれぞれ神社がある。
(記憶が間違っていなければ、平安時代くらいからの歴史のある神社)
昔は人口多かった。
地区に中学校があった。
同級生200人!
住民同士の情報交換タイム |
【共同活動】
海岸の掃除
学校の清掃
神社の清掃
子供会
まつり
【共有資源】
公民館
区事務所
M漁民研修所など
M地区の公民館の前は海 |
M地区 公民館長にお話を伺った。 コロナ禍でストレスが多かった等。 |
公民館長N氏へのインタビューメモ
【公民館について】
館長1人、役員7人
講はやっていない。
年間計画作成、実施
盆踊り
運動会
区費 年間1万円
補助金:中央公民館より年間6.8万円
手当:公民館長4万円、会計1万円
M地区の様子 |
【Iターンについて】
ビジネスを作っている
既存住民の巻き込みなし
(I ターンで吉川さんは漁師になったけど、それは違うしなぁ)
【苦労】
コロナで集まれない
行事の中止
【その他】
社会教育委員会の企画
親子留学 ←公民館お手伝い
大人の島留学 ←区長も協力的
M地区 図書館分館 |
ランチ 図書館分館のS家にて 外食せず。 |
島内の道路 |
島内の道路(2) |
観光名所 ハート岩 |
西ノ島へ 車で |
西ノ島町役場 |
隠岐国賀展望台 牛が草を食んでいたり。 |
隠岐国賀海岸(摩天崖) |
赤尾展望台 200度、パノラマビユーの海。 空、草原、海。気分転換に。 |
S本さん「島の暮らしでは、人と人が繋がりが感じられ心地よさがある反面、都会と違い他人の目があり1人になることが難しい。そこで、たまにここに車できてリフレッシュしています」とのこと。
CAS(セルアライブシステム)冷凍施設 |
ento |
隠岐学習センターにて島前高校生らにプレゼン |
(株)風と土とのOさん。 |
地域つくり、人材育成・教育、出版、コンサルティングなどを行う。
地域つくり:各種政策策定
人材育成・教育:リーダーシップ研修、チームビルディング等各種研修、
中学・高校の授業カリキュラム策定
https://kazetotuchito.jp/
途上国で行われてきた参加型アプローチが海士町で効果があるかは、確認をしてみたいところです。
海士町でカフェをやっている元協力隊員N岸さんらと。 |
町の情報の集積地点へ! |
初対面の方々と。フィリピンに近いオープンさ。 |
日本舞踊の師範でもあるママ コロナでは大変だったとのことでした。 隠岐で中曽根康弘元総理撮った貴重な写真 |
ブドウ畑にて作業お手伝い 海士町産ワイン作りをされるI川さんの畑にて |
ぶどうの苗を植える穴 |
山間地の田んぼ |
島の南部(崎)へ向かう途中 |
崎小学校跡 宮崎アニメに出てきそうな懐かしさ |
崎小学校跡を管理しておられるT後氏 |
ふるまいには参加できないものの、 コーヒーをわざわざ取りに来て下さいました |
9時~12時半までコーヒーを振る舞いました。 多様なバックグラウンドのIターンの方々。 |
ミカン畑も管理しておられる才人 |
隠岐開発総合センター 海士町中央公民館 海士町中央図書館 海士町教育委員会 |
中央図書館でもフリーコーヒー |
JICA(JOCA)の職員 青年海外協力隊で、コロナ禍で赴任できないなどのため事前に海士町に派遣されている隊員の監督 |
図書館や教育委員会の職員 貴重な話を伺うことができました。 イケメン・美女多し。 |
以下、インタビューメモ。
【探求学習】
公立小学校・中学校で地域と関わりのある「探求授業」が実施されています。
カリキュラム・目標は以下の通り。
小6:子供議会町作りに1人1人が提案する。
中1:その中から実現できそうなものを見つけて動く。
(記憶が確かなら大人が過去10年で60~70%は実現させてきた。要確認)
中2:地域の中でやってみたいことを実現する。
中3:職場体験。地域との繋がりからミッションを考える。
「政策策定・地域自治」と「職業(民間、市場)」という2つの方向性の体験を若いうちに積ませるという素晴らしい活動だと考えます。
補足:フィリピンでは、SK(Sangguniang Kabataan)といって、青年(15-21才)が最小行政区(バランガイ)の議会に入ることが制度化(1991年地方自治法)されています。SKメンバーには代表以外に議員がおり若手が自治を経験する場になっています。
地元史、まちつくり関係書籍が多い |
海士町関連資料 |
海士町関連資料 |
牡蠣の養殖に携わる専門家 海洋水産大の大学院卒とのこと。 |
子育てしやすい印象 |
若者が多い |
「ちゃかぽん」さんのお手伝い |
海士町職員の方(右)。 自己紹介をさせて頂きましたが、祭りの最中に空気が変わるような真剣さを感じました。 島にどう役に立つか関わることが出来る人か、頭がフル回転したように見受けられました。 穏やかな島の休日でも職員の方にスキが無い。 |
ento |
entoにてフリーコーヒー イベントへの参加許可はもらっていなかったので ホテルのマネージャーさんらに2人のみ提供 いつかは出してもらえると良いなと。 |
ento エントランス |
ento 海に面した客室 |
パノラマ撮影 |
菱浦港 お土産物の種類が多い。 滞在日数に応じた期限付きクーポン券(私の場合4000円分)が使えた。 |
観光案内所 スーツケース1個を事前に配送して、到着時にここで受け取りました。 |
島の規模にくらべて立派!と思わせる建物 やっていることが素晴らしい |
美人モデル |
島を離れる前の記念撮影 |
お見送りありがとうございました!!! (乗り込んだ後、高速船がエンジンをかけるまでの微妙な時間帯) |
住民にも町役場の職員にも優しく、そしてキラリと光るものがありました。
出会った皆様貴重なお時間をありがとうございました。
出会った高校生はとても良い子達。島根県の学校事情を知りませんが、本土よりも多種多様な経験が出来る島前高校は将来名実ともに県で1番の学校になるんじゃないかなと夢想しながら島を後にしました。
また訪問したいです。
(起~承~結の3部作にする予定でしたが、この海士町訪問記は2話で完結)
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