フィリピンコーヒー品評会(Philippines Coffee Quality Competition 2021)とオークションの結果

 フィリピンコーヒー品評会(Philippines Coffee Quality Competition 2021、以下「品評会」)とオークションの結果

5月26日に発表された品評会と6月に行われたオンラインオークションの結果は以下の通り。

赤:ミンダナオ島、青:ルソン島、黄色ビサヤ地方


エントリー数
全国12の地方から合計で103の公式な生豆のエントリーがありました。
内訳は以下の通り。
・アラビカ部門 31
・ロブスタ部門 69
・エクセルサ部門 3

主催
・貿易産業省(DTI)
・農業省(DA)
・Barista and Coffee Academy of Asia
・Coffee Quality Institute
・ACDI-VOCA(米国農務省系NGO)

カッピングの場所
新型コロナのため各国で実施。
・インドネシア
・台湾
・シンガポール 
・フィリピン
ヘッド・ジャッジはシンガポールのMr. Shaun Ong(Better Coffee)。
台湾からは2019年に続き林哲豪氏(Krude Che Hao Lin, Head Judge of Taiwan National Coffee Evaluation)

さわやかな林哲豪氏(右)
マニラにて(2019年3月26日撮影) 


【コメント】
新型コロナ禍で開催が遅れてしまい、農家には心配と苦労がありました。
開催の通達が遅れてエントリしなかった販売した農家・団体もあります。
主催者も準備では苦心したはずなので文句ではないのですが、段取りが例年通り1ヶ月早ければ、違った結果になったでしょう。

入賞数
アラビカ部門でルソン島6、ミンダナオ島6と拮抗。
ロブスタ部門でも、ルソン島5、ミンダナオ島6と拮抗。
1名がボホール島から入賞。

アラビカ部門の入賞者は、ミンダナオ島からはBACOFA Coopのみ。
2019年のようにBukidnon州との接戦を期待していました。
ミンダナオ島からは多くの有力組織がエントリーをしていません。
同島には高いポテンシャルがあります。

アラビカ種
ルソン島ではベンゲット、サガダのコルディリェラ地方、ミンダナオ島からは南ダバオ州のアポ山から入賞。
ミンダナオ島のコーヒーの一大生産地ブキドノン州からの入賞が無かったのは意外。(2019年には上位6位中2団体が同州から入賞。)

ロブスタ
上位5位は南イロコス州。
スルタンクダラット州もミンダナオ島のコーヒーの一大生産地であり8位入賞は一条の光の存在。

オンライン・オークション
今年は機能した。アラビカ部門で最高値52.2USD/KGを記録した。ロブスタ部門では最高値が18USD/KGであった。

ご祝儀的な意味合いがあるものの、農家にとっては今後のモチベーションになる。
個人的には、貧しくても真面目で能力も高いマリテスさんの生豆が評価されて良かった。

マリテスのコーヒーは試飲してみて、美味しかったので席を立って彼女の家まで走って伝えに行ったほど。(途中で出会ったので家まで行くことは無かったが。)87点で優勝するのではと予想。本人には「Very delicious. 88点くらいだから、エントリーしなさいよ」と背中を押した。多くの欠点豆を捨てたことが伺える風味で、また新技術、嫌気性発酵に挑戦した姿勢も素晴らしい。子供が6人。貧しい中でも特に貧しく、規律正しく忍耐強い方で、報われて良かった一人。



マリビックの生豆(3位ジャスティン名義)もマリアルースの生豆(6位)も有名になってしまった。彼女らの豆は農協の定価(=市場価格)では今後買えないかもしれない。次の戦略・方針を考えないと。
フロレンショ(=マリアルースのお母さん、8位)もマリアルースらが手伝っている。親子での同時入賞でめでたい。以前、在庫が残って苦しんでいたのが、うそのよう。

Ms. Jastine Mae

Ms. Jastine on Jan 2021



Ms. Maria Luz Dubria in Jan 2021
6th Place in 2018, 2019, 2021



前回2019年のオンライン・オークションは完全に欧米を向いたオークションで、非難が多かった。欧米の昼間に、つまりアジアの夜間に数時間開催されたのみで、キロ1,000円程度で農民の苦労の結晶が買われていった。フィリピンのバイヤーにとっても不満の多いものになった。この点は改善されて良かった。

入賞農家の皆さんおめでとう。
Congratulations for the all awardees. 

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