BACOFA MIXの作られた地域社会

商品が生産された地域社会の説明 

BACOFA MIXナチュラル (商品番号02) 
ミンダナオ島アポ山のコーヒー(ナチュラル)の特長 
1)甘味、2)明るい酸味、3)ワインのような発酵感  

BACOFA Mix ナチュラルは以上の特長を強く表現しています。
まず産地のナチュラルに共通する特長を知って頂くためにお勧めしています。 

プロファイル 
生産地:ミンダナオ島南ダバオ州バンサラン町アポ山 
標高:1400m~1600m  生産者:BACOFA農協(3名の農家) 
品種:アラビカ種カティモール 精製:ナチュラル(果実をつけたまま約1ヶ月間天日乾燥させます) 
収穫:2019年10~12月 
風味:甘味、明るい酸味、果実感、ワインのような発酵感あり。 
 生産者 Ms. Cristina Orcullio (年齢?) 1450~1500m。 
Mr. Merlito Banados (54才) 2ha、1550~1600m。妻1人子供1人。町の平野部では野菜の栽培を行っています。 
Mr. Sandlar Catigbe (60才) 3ha、隣村で山向こうの徒歩1時間半の距離に畑があります。
BACOFA Coop (以後「農協」)
1) 価値規範 

品質 この農協の特長は品質重視です。
2016年3月に在庫が積み上がっているのを見て、「売ることがこの村、農協の最大のニーズ、品質を高めて日本で売ってみよう」と私は現地と日本を行き来し、品質向上に努めました。

以前はコーヒーの品質に無頓着。選別をせずに出来た生産物をP135/KGで売っていた。そこで、選別したコーヒーを当時としては高値(P200/KG)で買い上げたり、KeyコーヒーOBの方に現地で選別トレーニングを行って頂いたりしました。

2016年11月の第2回フィリピンコーヒー会議(於Baguio市)にてフィリピン国で初めての品評会が開催されMs. Marivic Dubria (以後「マリビック」)のコーヒーが優勝。以後、農協には待っていても注文が入るようになりマーケティングが楽になった。品質重視も浸透していった。現在はフィリピン国コーヒー品評会(Philippines Coffee Quality Competition)において毎年上位入賞する農家を輩出している。2018年は優勝、6位、2019年優勝、4位、6位、7位、10位、2021年優勝、3位、4位、6位。

「スペシャルティコーヒーを作って当たり前」という偏った(?)価値基準が内在化されている。基準を落とすのは簡単なので、高い基準を維持してもらいたい。

集団的リーダーシップ 現組合長のマリビックが、他の役員に仕事を割り振り、役員達の能力が向上。また品質の向上についても、マリビックが自分以外に出来る農家を育てようとしている。(BACOFA Coopに限らず、他団体の参加も望んでおりコーヒー産業全体の繁栄を考えて望んでいるように見える。)

住民参加・平等・公平 参加型アプローチには重視されるこれらの考えは、過去数年間一先ず脇に置いておいて品質向上を優先した。ビジネスの観点から、品質向上に熱心な農家により多くの時間を割き、そうでない農家は後回しにせざるを得なかった。

2) 能力   
ミーティング
組織活動が高低は、ミーティングへの参加率である程度正確に把握出来る。
2016~2018年頃には役員の定例会は開催されていなかった。
現在、定例会は毎月第一土曜日に開催、役員の出席率は高い。
年一回の総会も開催され過半数が出席(現在組合員数84名)。

2020年8月7日総会
左から、書紀アモール、組合長マリビック、Bookkeeper マリテス 

2020年8月7日総会参加者

定例会において、お金の出入りは毎月報告される。
キャッシャーとブックキーパーの尽力で総会では一年を通した会計報告も行われる。

3) 資源  
農業省、貿易産業省、NGOなどからの供与により以下を所有。
デハラー(脱殻機)
パルパー
焙煎機(薪)、焙煎機(電気)
乾燥ベッド
倉庫(地震で全壊)
事務所
水洗式のタンクは小型1台
等を所有。

課題
1)選別、乾燥を集中して行う共有地がない。
2)安定したWIFIが無いため、バイヤーにタイムリーに返事が出来ないこと。
3)乾燥ベッドの不足(カカオ農協で借りたりしている)
  
 農協-行政の関係 
 1) DA (農業省)
  苗木等生産関連、収穫後処理の資機材を供与

 2) DTI(貿易産業省) 
  収穫後処理の資機材やマーケティングに関するセミナーを実施

3)DPWH (公共事業道路省)
  ダバオ地方開発協議会からの提案で農村道路を建設中。
  (新型コロナのため一時中断、再開)

行政とは良好な関係を維持
比較的、高いレベルの行政(州や地方レベル)との連携が多いことが特長。

生産において頑張れば、行政が開発のパートナーとして認知し、さらには、州の地方の誇りだとも発言してくれ行政とは良好。

 農協-市場の関係 
1)販売先
  2016年2、3の販売先しかなかった。
  2020年28の販売先がある。→経営安定化。

2)銀行からの融資
  2019年(利息15%近く!)、2020年(利息5%)には銀行融資を受けた。
  一昨年よりも条件の良い銀行を見つけてきた点、良くなっています。

3)2021年
  組合員が生命保険に加入出来るようになった。
  掛け金が年数百円、死亡時にもらえる金額が6万円程度でいくつかのプランが各自選べるとのこと。

販路が以前は2,3しかなく、1つの大口バイヤーが買取をストップしてしまったら打撃を受けるという不安定さがった。近年は取引先が増え、収入が安定した。

また、「ナチュラルを全部独占的に購入させてくれ(台湾業者)」、「80トンすべて買う(アメリカ業者)」「独占販売権が欲しい(中東へ輸出するフィリピン業者)にマリビックや農協幹部は「No」と返答しています。自分たちの能力や権利、責任を見極めて、アメリカにNoというなんてすごいと思いませんか?

 環境
  

コーヒー生豆の単価が上がり、野菜からコーヒー栽培に転換する農家が増えた。
結果、山に緑が増えた。

年に3,4回耕作する野菜よりもコーヒー樹ベースのアグロフォレストリーの方が土壌保全効果が高い。

なお、コーヒーに肥料をまいたり害虫防御のために農薬を使うことはまずありません。資金に余裕がないからです。


2019年

土壌保全のため、雑草を低密度で残す農法を実行する農家が2019年から現れた。
草刈機を貸与したために、実行が可能になった。
口でアドバイスをしても、誰も聞いてくれなかったわけですが、具体的に問題を解決する手立てを実行したら、農民も行動に変化を起こした。


農民の生活とSDGs
さて、ミンダナオ島アポ山のコーヒーに関する活動は17のSDGs(持続可能な社会を実現するゴール)のうち特に下記に関わっています。

貧困:野菜農家に対する貧困の罠である高利貸し(月15~20%)からの自立。
   「家を増築した」「財布にお金が入っている」「おかずが良くなった」など農民の収入が増えたことが観察されます。
 
環境:コーヒー苗木の植林により山の緑が回復。土壌保全効果。

不平等:悪条件の高地の小規模生産者を応援するバリューチェーン開発政策実施。
    自家焙煎店やコーヒー愛好家も現地に来ます。
    
産業:未熟な産業ながら生計の柱として、インフラ整備や技術向上が進展中。

教育:貧困解消とも関わりますが、生計向上により子供を学校に通わせ易くなります。

ジェンダー:生豆選別が女性の雇用機会に。子供の面倒を見ながら仕事が可能。

健康:地元産のコーヒーで健康増進。1日3~4杯を推奨。

平和:特にミンダナオ西部の紛争地域において、反政府ゲリラ→武装解除→社会統合(就業)への進展あり。

パートナーシップ:国境を越えた実施手段の強化。技術や知識の共有。
         詳しいことは、自家焙煎店さんに聞いて下さい。


フェアトレードとの関係
全体的に、農協と農協を取り巻く地域社会が良くなっていることがおわかりいただけたでしょうか。

フェアトレード認証では、コミュニティの中身はブラックボックスです。

私達は、「フェア」とは農民(住民)が勝ち取って行くものであり、それを地域社会でサポートし、またバリューチェーンに関わる人達が関わり作り上げられる状態と考えます。

生産者、行政、輸出、輸入、流通、焙煎、消費、という一連の流れではそれぞれの立場で出来る役割があり少し社会を良くすることがあるかなと考えます。

そのために、生産地と消費者(皆様)を地続きにする活動をしております。
是非楽しんで下さい。
Take part in the coffee community!

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