Kitanglad (キタングラッド)山のコーヒー

2018年は生豆不足を救ってもらった。 逆に2019年は確保に本当に苦労をした。
2018年 1月になってもアポ山で生豆が集まらなかった。
2017年10月に強風で果実が落下。 経験が少なく、収穫量の低下が予想できていなかった。 また、収穫はあっても品質がパスしない。当時、品質が良いのは全体の一部でしかなかった。目標600KGのうち300KGが不足していた。 

生豆を求めて、隣州(コンポステラバレー州、南コタバト州)の知り合いにで電話をかけまくったが、良い返事は返ってこなかった。 

望みを託してブキドノン州へ。貿易産業省州事務所でコーヒー生産者リストを頂き、全部電話した。 時期が遅く、どこも在庫を持っていなかった。実際足を5箇所ほど運んだが、各団体数キロしかない状況。 唯一Malaybay市に農園を持つM社に在庫があるとの返事を頂いた。 サンプルを入手。パーチメントだったので自分で殻を剥いたが指が死んだ。(カカオの焙煎を小規模でやられた方ならこの感覚は分かっていただけると思う。) グレープフルーツのような明るい酸味があり良かった。救われた。
天然林が一部残る。マカダミアがコーヒーの被陰樹。
農園管理者Mr. Robertson, マネージャーDr. Doods

ブキドノン州位置図
Davao市-ブキドノン州州都Malaybalay市はバスで約6~7時間。そこから産地へは約1.5時間(乗用車+徒歩)、Malaybalay市から生豆の乾燥保管選別場所まで約1時間。


翌年2019年 再度注文したが、まず3つの予期せぬことが起きた。
1.低温 2.治安 3.生豆選別のための女性が集まらない 
 
1.低温 通常10月~12月が収穫期ですが、1月に入っても収穫が本格化しなかった。 確かに肌寒い日が続いていた。 じりじりとしていた。 一方で、コーヒー果実の成熟には積算温度(ATU)が関係するのであろうと検索したが、わからなかった。 

2.治安 州都へ到着した翌朝NPA(新人民軍)と警察の衝突があり、産地へ行くことがキャンセルになった。 翌週出直したが、またNPAの事件があり産地訪問は当然キャンセル。 

3.生豆選別のための女性が集まらない 2月に、生豆を選別するための女性を、募集すると農園管理者は言っていたが、全く集まる気配がなかった。 村の女性は、パイナップルプランテーションに取られているというのが理由だった。 私は1月から選別の指導をせねばとスタンバイをしており、気の長い私でも返事の遅さ、進捗の無さにじりじりとしていた。  

男性ワーカーの超人的な努力 農園から男性ワーカー12名が生豆選別に集められた。 朝、6時→1.5時間7KM歩いて山を下り、パイナップル農園を抜け、幹線道をまで出る。 そこで、トラックの荷台に乗る。1時間移動して選別作業を行う。昼は2時半くらいで撤収。 再びトラックの荷台に乗る。 また農園まで歩いて帰る。 これを約1週間続けてくれた。
キタングラッド山系がパイナップル農園の向こうに見える。
生豆保管所は別の町にあるため、農園の男性ワーカーはここを毎日往復した。

産地へ向かう道は、途中から徒歩になる。

  
農園内の寮 (標高1300m)

選別・保管は、マノロフォーテッチ町で行われる。
100粒抜き出して、良い豆、欠点豆を確認
全体をもう一度再選別するように依頼した。

私も心配やダバオー現地の移動で、かなりの時間と労力を費やした。 
そして確保したKitangladのティピカ300KG。

関係者の律儀さには有り難いと思っている。 
そんなストーリーも知って頂きたい。 
 (青山通商株式会社 東京都港区 担当堀江)

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