嬉しかったこと(1) 借金が返済される

7/11 久しぶりに生産地を訪問し、嬉しかったことが3つあります。
1.借金が返済されたこと。
2.新しく建てられた農園の休憩室(お茶室)へ上がってみたこと。
3.良い生産者に会えたこと。

フィリピン人が借金を返す。47,000ペソ(約10万円)、2年越し。
大ニュースです。なぜか?
Amelitaさん。借金額と提供した生豆の金額を計算をする。
 フィリピン人にお金を貸して、返ってくることはまずありません。
フィリピン人は申し訳ないけれど、日本人は皆そう言います。
私の経験からも、そうなのです。(思い返せば、学生時代に貸した1000ペソ、恩人に中古バイクを買ってあげた14万円、友人の学費を立て替えてあげて数万円等々。)
多くの比人は「余裕があれば返す」という優先順位付けをしており、家族第一主義のため貸方に感謝はすれど、他の出費もあり返せなくなるのです。)

アポ山のコーヒー農民にも結構な額を貸付ました。
理由は、2018年1月私が切羽詰まっていたからです。予定の600KGが集まらない状況でした。前年ミンダナオ島では珍しく大風が吹き、コーヒーチェリーが落果。収穫が激減していました。また、乾燥ベッドも壊れ、処理能力が不足していました。
重い足取りでアメリータの家へ
アメリータは、1,300mの生産者。
「コーヒーを作って、なんとか子供を学校に行かせたい」
そんな素朴夢を聞いていました。
家には珍しく、ビニルハウスがあり丁寧に収穫した果実が綺麗に干されていました。

2017年末、彼女のナチュラルを日本の某商社で試飲して頂いた。
非常に美味しく、87、88点あったかもしれません。甘く明るく華やかでした。(以後あのレベルのものが出来ていない・・・。理由としては、その土地に初植えで土壌養分が十分にあった、輸送が飛行機で新鮮であったことは考えられます。)

さて、アメリータ、当時の組合長、農協に増産してもらおうとバックアップ。
さらに資機材(透明のセロフィン)も援助。
しかし、全体量の減少と他民間企業との買付競争にはいかんともしがたく、買付量は足りず、返済もされず、裏切られたと思いました。
アメリータの乾燥ビニルハウス(2017年11月)

アメリータの乾燥ビニルハウス内の生豆(2017年11月)
翌2019年は、アメリータに南ダバオ州在住の韓国人が接触し、金を渡しウオッシュド(水洗式)を作らせるという抜け道で、ほとんどの生豆を奪い取っていっていきました。ティピカやブルボン種の方がアポ山に多いカティモール種よりは品種として風味が良い。その特徴はウオッシュドで良く表現される。しかし、3週間から1か月かけて干すナチュラルプロセスでは、発酵によりワインのような複雑な味になり、カティモール種で「勝てる」と評価しています。だからナチュラルを頼んでいたのに、横からこそこそと。

アメリータの乾燥ビニルハウス(2018年12月)

乾燥中の生豆(2018年12月)

「こそこそ」とあえて相手を批判する表現をするのは生豆が得られなかった以外の理由があります。私たちは個人農家と金銭的な取引をしていません。農協(住民組織)を通してコンタクトを取っています。住民組織の育成を念頭においているからです。個人アプローチをかけたら、設立間もない農協は組織のタガが外れます。一方、1つの組織ににまとまっているメリットは、行政からの資機材供与の受け皿であり、マーケティングの際の窓口一元化ということが挙げられます。大土地を所有する農家が少なく、小農が集まっていることが幸いに組織を安定させている要因になっています。

さて、昨2019年は、結局アメリータに200KG注文してのに受け取ったのは25KGのみ。
もう債務履行は諦めていました。しかし、今年はアメリータの方から60KGのコンテスト出品豆をわけてくれて、計算してみると完済。

彼女の今期のコーヒーを試飲。スペシャルティに一歩及ばないレベル。
寒い気候の住民の方が全体的に律儀な印象を受けます。
アメリータ以外に、数人に少額(1万円程度)を貸しましたが、翌クロップシーズンには生豆で物納されました。
しかし、大きな額は戻ってこないと諦めていました。

アメリータとは、生豆の評価や販売などについて約30分議論。
家族写真を撮って退出。
お金よりも信頼関係が戻ったことが嬉しい。
アメリータと夫、3人の子供のうちの末娘
コーヒーの花。アメリータの農園にて。
結実が始まっている中、遅れて咲いていた。2020年7月11日写す。

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