Alma Monica A. de la Pazさんのこと(1)コーヒー樹をベースにしたアグロフォレストリー
7/7、ミンダナオ島におけるNPO活動・ボランティア活動で優れた功績をあげた人を紹介してもらえないかという連絡を頂いた。賞金は100万円とのこと。
真っ先に思い浮かんだのは以下2名。
Ms. Alma Monica A. de la Paz女史(以下「Almaさん」)
網代正孝氏
網代正孝氏
・日本フィリピンボランティア協会元会長、ミンダナオ国際大学名誉会長
・戦後日系人の悲惨な状況に遭遇し、その社会的地位の向上に主に教育事業を通じて取り組む。フィリピン日系人会学校、ミンダナオ国際大学など設立。
・老人人口が増加する日本と若年層の雇用が課題になりつつある比国の状況を見抜き、日比相互の補完関係の構築、特に日本語人材や介護士の育成をいち早く行う。
日本人がダバオに移民し115年ほどになる。原生林で覆われたダバオを開墾し、繁栄させ、その後戦争で身を隠さざるを得なくなり、貧困以下の生活を強いられたと聞いている。そこから地位を回復し、現在の日系人会会長でミンダナオ国際大学学長イネス・マリァリさんが天皇即位の礼に呼ばれるまでになった。地位向上には網代氏の功績が大きい。なお、即位の礼に招待されたのは、ドゥテルテ大統領、サラ市長、イネス・マリァリ日系人会会長の3名。マグサイサイ賞受賞の有資格とも考えます。東京在住。
網代氏は別の機会に譲るとして、今回はアルマさんについて書きます。
Ms. Alma Monica A. de la Pazさん
・KAPWA Upliftment Foundation Inc. (以下「KAPWA」)というNGOのExecutive Directorとして30年以上アグロフォレストリー普及などに従事。(1986年から現在までExecutive Director)
・Mt. Apoにおいて少数民族バゴボタガバワ族の先祖伝来の土地(40,733ha!)を確定させた
・CODE NGO副代表、PHILDHRRA代表、ダバオ地方開発委員会など歴任
コーヒー樹ベースのアグロフォレストリーを普及・推進されたのもAlmaさんです。
フィリピン研究者なら「CODE NGOの副代表」「PHILDHRRA代表」と聞くだけで驚くのではないでしょうか。CODE NGOは全国最大のNGOネットワークであり、PHILDHRRAは土地なし農民を支援するNGOです。15年前までは土地なし農民と地主の激しい激突が毎日のように報道されていました。自力で農地改革を行うには富裕層・地主の抵抗や法の抜け道があり、土地なし農民には困難な道のりでした。ルイシタ農園の惨劇などは、有名ですので気になった方は調べてみて下さい。
Almaさんは、ダバオで地元のNGO「KAPWA」代表として勤めていたら、全国の組織のトップまで上り詰めてしまったという稀有な方です。経歴にも触れましたが、3つの点で重要人物です。
1)アグロフォレストリー普及
2)少数民族ボゴボタガバワ族の先祖伝来の土地の権利確定の調査を実施
3)地方開発委員会などに参画
コーヒーとの出会い コーヒー樹ベースのアグロフォレストリー
KAPWAがコーヒーを仕掛けたことを私は2015年11月に知り、翌2016年1月に日本にて実際にコーヒーを試飲し、同年3月に現地を初めて訪問。その前に、Almaさんをダバオ市内のKAPWA事務所に表敬しています。
行動力のある人が現地にいきなり行って、その状況なり自分の感性を大切にするという考え方もあるのですが、フィリピンでは関係者に表敬し、自己紹介と訪問の目的を伝えてから村に入った方が何倍も良いです。外国人が勝手に行ったと噂を立てられることもなく、親切にガイドを買って出てくれたり、さらに人を紹介してくれたり、後で何倍も泳ぎやすくなります。挨拶をしておいて損はありません。反対に挨拶・紹介が無いと「変な人」という悪印象や噂話を残しかねず得策ではありません。どこで誰がつながっているかわからないので、全方位に対して丁寧に接した方が安全です。
さて、Almaさんに初めて会い、そこでCODE NGOのNo.2であることやPHILDHRRAのトップであることを知り、ミンダナオに全国レベルの方がおられることに驚きを覚えました。森林保全と少数民族の権利擁護に強い関心がおありになることも分かりました。
プロジェクトは欧米のファンドを獲得してアポ山周辺で30年以上切れ目なく実施。仕事では、とにかく返事が早い。全国組織での仕事をこなしてきた仕事の流儀なのだと。現在も2本案件が走っていたはずです。(1つが少数民族の権利擁護、もう1つがBACOFAの下の地域において住民組織化、各もつはコーヒーとカカオ産業の育成、施設建設。)私が会ったフィリピン人の中では最速です。決断も早いですね。傑出した方です。(私が言うのもおこがましいのですが)
アポ山では、少数民族(バゴボタガバワ族)の方が傾斜が平らな土地に居住しています。むしろセブやボホールからのImmigrant(移民)の子や孫の方が高地に住んでいます。現在でも、Mt. Apoのバンサラン町バルタカイ地区のマリビック達の上の集落には、他州から来た人たちが棲みついています。
答えの無い協議は、コーヒーで妥協しました。
コーヒー樹の間に他の作物(野菜)を栽培する、Mix Cropping(混作)またはInter Cropping(間作)と呼ばれるもので、木を間に植えるためAgroforestry(アグロフォレストリー)と呼ばれます。収益とリスク分散、環境保全とのバランスを実現する唯一の解でした。それが2011年頃。
といっても、すべての農家がコーヒーを植えたわけではありません。植えても、収穫できるのは2~3年後、収穫は年に1回。高く売れる保証もない。最初に栽培を決断した農家には敬意を表します。
2016年、私は初めて現地を訪問しました。その年、私は3回生豆の選別トレーニングを実施。最後に実施した10月は、Key CoffeeのOBの松浦氏(インドネシア国キーコーヒー元工場長)に実施していただいた。
2016年11月にバギオ市において開催された初のコンテストでは、誰かが知らないうちにマリビックのコーヒーを出品し優勝。知名度は一気に広まりました。品質とともに価格も上昇し、コーヒーを植える農家が急増、野菜をやめてコーヒー専業になる農家まで現れました。
開墾と植林が同時に起こる一進一退のじりじりした状態が続いています。昨年あたりから、緑の面積が増え、KAPWAと農民のVisionは実現化しつつあります。
売れるて初めて環境も保全されるので皆様のご意見・ご批判をお待ちしております。
真っ先に思い浮かんだのは以下2名。
Ms. Alma Monica A. de la Paz女史(以下「Almaさん」)
網代正孝氏
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KAPWA Upliftment Foundation Inc設立40周年記念式で挨拶する代表のAlmaさん 2019年7月3日写す |
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KAPWA Upliftment Foundation Inc設立40周年記念ゲスト |
・日本フィリピンボランティア協会元会長、ミンダナオ国際大学名誉会長
・戦後日系人の悲惨な状況に遭遇し、その社会的地位の向上に主に教育事業を通じて取り組む。フィリピン日系人会学校、ミンダナオ国際大学など設立。
・老人人口が増加する日本と若年層の雇用が課題になりつつある比国の状況を見抜き、日比相互の補完関係の構築、特に日本語人材や介護士の育成をいち早く行う。
日本人がダバオに移民し115年ほどになる。原生林で覆われたダバオを開墾し、繁栄させ、その後戦争で身を隠さざるを得なくなり、貧困以下の生活を強いられたと聞いている。そこから地位を回復し、現在の日系人会会長でミンダナオ国際大学学長イネス・マリァリさんが天皇即位の礼に呼ばれるまでになった。地位向上には網代氏の功績が大きい。なお、即位の礼に招待されたのは、ドゥテルテ大統領、サラ市長、イネス・マリァリ日系人会会長の3名。マグサイサイ賞受賞の有資格とも考えます。東京在住。
網代氏は別の機会に譲るとして、今回はアルマさんについて書きます。
Ms. Alma Monica A. de la Pazさん
・KAPWA Upliftment Foundation Inc. (以下「KAPWA」)というNGOのExecutive Directorとして30年以上アグロフォレストリー普及などに従事。(1986年から現在までExecutive Director)
・Mt. Apoにおいて少数民族バゴボタガバワ族の先祖伝来の土地(40,733ha!)を確定させた
・CODE NGO副代表、PHILDHRRA代表、ダバオ地方開発委員会など歴任
コーヒー樹ベースのアグロフォレストリーを普及・推進されたのもAlmaさんです。
KAPAWAとフィリピン大学ロスバニョス校が共同で出版した アグロフォレストリー教本(1994年) |
Almaさんは、ダバオで地元のNGO「KAPWA」代表として勤めていたら、全国の組織のトップまで上り詰めてしまったという稀有な方です。経歴にも触れましたが、3つの点で重要人物です。
1)アグロフォレストリー普及
2)少数民族ボゴボタガバワ族の先祖伝来の土地の権利確定の調査を実施
3)地方開発委員会などに参画
コーヒーとの出会い コーヒー樹ベースのアグロフォレストリー
KAPWAがコーヒーを仕掛けたことを私は2015年11月に知り、翌2016年1月に日本にて実際にコーヒーを試飲し、同年3月に現地を初めて訪問。その前に、Almaさんをダバオ市内のKAPWA事務所に表敬しています。
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Davao市の閑静な住宅街にあるKAPAWA事務所 |
プロジェクトは欧米のファンドを獲得してアポ山周辺で30年以上切れ目なく実施。仕事では、とにかく返事が早い。全国組織での仕事をこなしてきた仕事の流儀なのだと。現在も2本案件が走っていたはずです。(1つが少数民族の権利擁護、もう1つがBACOFAの下の地域において住民組織化、各もつはコーヒーとカカオ産業の育成、施設建設。)私が会ったフィリピン人の中では最速です。決断も早いですね。傑出した方です。(私が言うのもおこがましいのですが)
BAGOBO-TAGABAWA族先祖伝来の土地の権利取得のための大きな調査を実施 Mt. Apoの頂上を含む40,733Haを国に認めさせる。この範囲においては一般人の所有権は認められない。 |
アポ山では、少数民族(バゴボタガバワ族)の方が傾斜が平らな土地に居住しています。むしろセブやボホールからのImmigrant(移民)の子や孫の方が高地に住んでいます。現在でも、Mt. Apoのバンサラン町バルタカイ地区のマリビック達の上の集落には、他州から来た人たちが棲みついています。
アルマさんたちは、2005年頃からバンサラン町バルタカイ地区の農民とコンタクトを取り始めました。NGO側は、野菜栽培、森林伐採を止めるように言い、農民たちは生活のためにやめるわけにいかない。
コーヒー苗木とニンジンの混作 2016年 この頃は野菜栽培の割合が大きい。 Marivicの農園にて |
コーヒー樹の間に他の作物(野菜)を栽培する、Mix Cropping(混作)またはInter Cropping(間作)と呼ばれるもので、木を間に植えるためAgroforestry(アグロフォレストリー)と呼ばれます。収益とリスク分散、環境保全とのバランスを実現する唯一の解でした。それが2011年頃。
2016年3月 |
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2020年7月 |
2016年、私は初めて現地を訪問しました。その年、私は3回生豆の選別トレーニングを実施。最後に実施した10月は、Key CoffeeのOBの松浦氏(インドネシア国キーコーヒー元工場長)に実施していただいた。
生豆選別のトレーニングを行うKey CoffeeのOB松浦氏 2016年10月 |
開墾と植林が同時に起こる一進一退のじりじりした状態が続いています。昨年あたりから、緑の面積が増え、KAPWAと農民のVisionは実現化しつつあります。
売れるて初めて環境も保全されるので皆様のご意見・ご批判をお待ちしております。
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