衝撃の5四金 矢倉戦中盤42手目


第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負 第2局
▲渡辺明棋聖ー△藤井聡太七段(6/28) 於東京・将棋会館

藤井君に対して瀬戸市役所にまさかの殺害予告があり心配されましたが、圧勝しました。
和服で気分を変えて、エビ天重2,860円(渋谷松川)で話題を作り、仮に負けても殺害予告を吹っ飛ばしたかなあ・・・と思ってみていましたが、将棋史に残る1手と完勝でしめるとは。エビ、和服のニュースのウェイトがなくなりましたね。

矢倉
プロで最も指された戦法ではないかと思います。
米長の「矢倉は将棋の純文学」が有名です。つまり王道。
私もアマ強豪の方に何局も教えてもらいました。

その矢倉が、時代遅れとここ最近言われていました。
AIが発達し、矢倉を破る戦法で高勝率をあげるプロ棋士も現れました。
そんな中、「矢倉は時代遅れじゃない」という発言もあり。
豊島竜王名人や藤井七段も。

棋聖戦第1局、2局と矢倉が続きました。
黄金カードに加え、この戦型は嬉しい。

5四金(42手目、後手藤井七段)
そして第2局で出た、新手5四金。
銀金銀と4段目まで盛り上がっている。

藤井玉は薄い。
バランス重視の現代将棋とは言え、薄い。
薄いを越えて、守り駒が離れている・・・。

そのまま押し切ってしまった。
すごいものを見てしまった。
渡辺明三冠が一方的に押されるなんて、5四金の構想から・・・
どこが敗着か?

渡辺三冠本人コメント
渡辺明三冠のブログ(6/28付け)から引用
(前略)
いつ不利になったのか分からないまま、気が付いたら敗勢、という将棋でした。
(引用終わり)

解説の藤井九段「将棋は中盤ですよ。中盤がうまい人が強い。藤井君は中盤がうまいのではないか。中盤ってなんだろう」と名言を連発。
「序盤中盤終盤スキがない」が最高の誉め言葉の1つとされる将棋界で、中盤の重要性を指摘した。藤井は、序盤ー中盤ー終盤までを含む斬新な構想、藤井システムの創作者なのでプロの中でも言葉の意味が重く受け止められる。

佐藤康光会長
5四金は、佐藤康光会長も絶叫したと(話に尾ひれがついて?)ニュースになっています。ほとんどの棋士が驚いたのではないでしょうか。すごいもの見ました。
今年度の升田幸三賞の候補になるのではと勝手に予想をしておきます。

3一銀
その後出た3一銀はしぶい手でした。(杉本師匠は受けだけのための素人っぽい手と発言)コンピューター4億手読んでも最善手ではなく、6憶~10億手では最善手。

立会人の屋敷九段:「検討が無駄になった」が印象的でした。
これは屋敷の能力云々というより、検討では、激しい手を(面白がって)行う傾向にあるからだそうです。それにしても、一顧も検討していないというのも、意外性があって面白い藤井将棋。

これまで藤井七段の妙手は、終盤で出ることが多かった印象があります。
今回は、中盤に出て、現役最強の渡辺三冠を90手で押し切ってしまった。

これでヒューリック杯棋聖戦5番勝負2連勝。
第3戦は7/9 都市センターホテル(東京九段下)にて開催。
連勝で初タイトルを奪取するか、渡辺三冠が意地を見せ次戦に持ち越すか大勝負になる。



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