新型コロナのコーヒー農家や関係者に対する影響

 新型コロナウイルスのため、2つのコーヒーイベントが中止になりました。
1つはフィリピンコーヒー品質コンペティション(Philippines Coffee Quality Competition 2020(以下品評会)で、もう一つはフィリピンコーヒー展示会(以下、展示会)です。どちらも、ミンダナオ島ダバオ市で開催予定で地元では盛り上がっていました。

政治経済の中心がマニラにある中で、開催地がダバオであることは画期的でした。その背景に、昨年2019年の品評会において、Top10すべてミンダナオ島の生産者(アラビカ部門)が占めたことが挙げられます。コーヒーに関しては、重心がミンダナオ島に移ったことが見てとれました。実際にコーヒー生産量(ロブスタ、アラビカ、エクセルサ、リベリカ4種)の約8割がミンダナオ島産なので順当とも言えます。お陰で、表彰されるであろう農民の交通宿泊費を圧縮することが出来ます。

さて、4月2,3日にコーヒー展示会を行い、その最終日に品評会の結果を発表する段取りでした。弊社も参加予定で、ブースの位置をBACOFAの横にするかと思案しておりました。また、日本やベトナム国からお客さんや友人を呼び、生産地視察ツアーを実施しよう計画を練っている最中、新型コロナウイルスにより封鎖が即断行されたわけです。

<被害と影響>
1. コーヒー農家
収穫期が10~12月、収穫後処理も3月までには最盛期を終え、新型コロナの影響はなかった。また、フィリピンではコーヒーは小規模農家によって生産されており、季節労働者は存在しない。従い、来年以降の生産量(収穫量)や価格に対する影響は影響はないと考えられる。しかしながら、以下2点で、今年は影響があった。

1) 品評会に提出した生豆の販売機会の逸失
1農家当たり180KGの生豆を貿易産業省に提出。南ダバオ州の生豆は農業省ダバオ地方事務所の倉庫にて2月から保管。先日(6/5)に関係各所と調整してやっと倉庫を開放。農民が引き取っていった。インターネットオークションは開催されない。
対応:ダバオ地方コーヒー評議会がFBで購入申し込みを呼びかける。

品評会エントリー生豆の保管状態
於農業省ダバオ地方事務所高付加価値作物開発プログラム培養研究所
バランガイミンタル、ダバオ市

Budoyさん。Marivicの旦那。働き者。

2トン以上の精魂込めて作った豆は農民が持ち帰ることになった。
完全な機会逸失。
マリビックの品評会エントリー豆は、封をあけるとフルーティーな香りが広がった。IKAWAホームロースターでサンプル焙煎。風味も甘味、ワイン感があり、クリアで欠点はなく個人的には86、87点。(美味しさだけなら去年の方がよりワイニ―で好みの味に近い、欠点が感じられないので昨年の点数より約1点ほど高い。)「2か月の空調無しの保存でも品質保持されており、安売りしなくて良い」と伝えるところまでが私の出来ること。

資金に余裕があれば、優勝候補マリビックの生豆180KG全部、そして、マリテス・アレリアーノさん、クリサリンさん、カガッドさんらのコーヒーも買って日本で紹介したかった。残念。(昨年優勝したマリビックの生豆は、私が購入をあきらめたらすぐに、米国人と中華系比人により購入が決まった。もともと注文があったのでしょう。私も思い返して60KGだけ確保。)

2) 野菜販売のストップ
各市町がお互いに人の行き来を遮断。一時的に野菜の流通がストップ。コーヒー農家の本業は野菜栽培。それが販売出来ないという事態に陥った。
対応:有志や農家自身がダバオ市内で直販を行うようになった。農業省も支援。

2. 輸出会社
1) 生産地への訪問が不可
対応:1)農民が直接配送してくれた。2)現地の写真や動画は、Messengerで共有された。ある程度、遠隔操作も可能になってきた。
2) 品質管理
対応:1)サンプルを配送してもらいダバオ市内でカッピングを実施、購入。
2)購入後も試飲。品質が異なるものは説明し、交換を依頼。

3. 自家焙煎店
3月の半ばから、営業停止。最も被害が大きいのが自家焙煎店なりカフェ。
対応:焙煎豆の販売、オンラインでの販売を強化。

一部では、コーヒー農家支援のために野菜を購入し、完全に八百屋となった店があります。サードウェーブコーヒー(美味しいコーヒー)の店が、サードウェーブを守るために、生産から販売するまでのバリューチェーンの中で、その仕組みを支えるという活動をしている。

サードウェーブを可能にするためのバリューチェーンの仕組みや地域内ネットワークを強化すること、生産者と消費者の共同意識を醸成していくことが次のステージ(フォースウェーブ)と考えています。


ダバオのサードウェーブ旗手のFlog Cafe 2019/12/15撮影

Flog Cafe店内は八百屋に。2020/5/20撮影
生豆保管場所位置図(農業省ダバオ地方事務所高付加価値作物開発プログラム培養研究所ダバオ市)ミンタルというバランガイ(最小行政区)100年前に、日本人が入植し、当時インタルという地名でしたが、人々が留まるようにという願いを込めてミンタルに改名しました。日本との歴史のつながりの強い街です。農業省研究機関、農地改革省事務所、フィリピン大学ミンダナオ校などがあり、最近では住宅地開発も進んでいます。

サードウェーブの次はどんな時代だと思う・・・きっとサードウェーブを可能にする社会だと思うんだよな。皆で共につくり上げる」


6/10 追記 
BACOFA Coopからは13人が品評会に参加。
各人が180KG提出したので、合計2,340KGを6/5に引き取り。
売れ残りは4名720KGのみ。
それらについてもBuyersからサンプルの依頼が来ており、売られていく見込み。
マーケティング力が高い。毎年品評会で入賞者が出ていることが宣伝になっている。

マニラなどへの配送でBACOFAのマーケット担当(マリアルース)は多忙。
本日は、飛行機がキャンセルになり一部Mt. Apoからダバオに持ってきた生豆約100KGをまた、持ち帰る羽目になった。



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