フィリピン国空軍機でダバオから邦人24名が退避


3月26日(約1か月前)のことですが、迅速なオペレーション且つフィリピン国空軍からもチャーター機の無償提供という友好の証もありましたので、以下に書き留めておきます。

<要約>
  • 関係機関の連携:ダバオ総領事館、セブ日本人会、フィリピン観光省、ダバオ市、フィリピン空軍連携が効果的であった。
  • 友好:フィリピン空軍は、無償で飛行機(C295)を提供
  • 迅速:ダバオ国際空港到着21時15分から、手続きを終え離陸までに要した時間1時間

2020年326 日午後10時過ぎ、27名(24名の邦人及び3名の比人)が、フィリピン空軍機C295 でセブへと脱出した。その後比人は27日、邦人は28日のチャーター機で成田に向かった。このオペレーションはダバオ総領事館、セブ日本人会、フィリピン国空軍、ダバオ市、観光省の連携によって行われた。邦人24名は、現地駐在員及びその家族、NGO支援者、語学留学生らで旅行者は1名であった。比人は日本人配偶者、日本在留資格を持つ者、渡航が決定していた介護士の3名であった。


  
<時系列>
1.2日前
2.当日
3.夜8時に領事館集合
4.ダバオ国際空港

1.2日前
退避2日前(324日)に、「ダバオ空港からセブへのチャーター機が飛ぶらしい。総領事館が動いている。セブからは東京行の飛行機に乗れるように調整している」との情報がダバオ市の邦人に伝達された。

ダバオ市では、すでに国内線・国際線ともに運航を停止しており、またコミュニティ検疫のため陸路の移動も制限されている中で、これが当面最後の出国チャンスであった。

2.当日午後
当日は、16時にダバオの旧空港近くのミンダナオ開発庁に集合予定であった。邦人は、各自待機したまま最終案内の連絡を待った。当該の空軍機が医療用品を輸送するために、別途使用され、午後6時に、集合場所・時間の変更の連絡が伝達された。
結局、夜20時に総領事館に集合になった。
ミンダナオ開発庁前。
退避する邦人は来なかった。

旧ダバオ空港
3.当日20時
幹線道路に渋滞がない。一度も信号に止められることなく3KM(DAMOSAから、領事館まで)を走行できたことに驚く。

19時45分ごろ総領事館の駐車場に到着。邦人が既に何人か集まり、3グループほどに分かれて立ち話をしていた。私がバンを来ていたため、松田家の荷物はバンに移動。2日での準備・荷造りは大変だったでしょう。

 


9時以降はダバオ市の行政命令で外出禁止の時間帯になるため、見送りの人はここまで。
しばらくして、国軍のトラック2台、領事館が手配したバン移動用のバンも到着。一般の方々のスーツケースなど荷物は軍のトラックに積み込む。

855分、空港に向けて軍のトラックを先頭に移動。車列を作って(フィリピンで言うところのコンボイ)空港まで移動。

移動だけならばレンタカーでも可能であったが、総領事館が軍と連携したおかげで、検問で時間を奪われることなく短時間での移動が可能になった。民間のレンタカーで移動した場合、検問での確認作業が必要になり時間を消費し、後のオペレーションに支障が出たかもしれない。このような緊急時はフィリピン国政府や軍に頼った方が良いと認識させられた。

4.ダバオ国際空港にて 
ここからが早かった。
空港到着:21時15分頃、輸送機の離陸:22時15分頃。
1時間で、手続きを終えて離陸した。

915分、空港の外にはテーブルとイスが用意され、そこで各人が問診票に記載。
私はまにら新聞の記事用の写真を撮ったりしていたら「手続きを手伝ってもらえませんか」と総領事から声をかけらた。猫の手も借りたい状況であること理解できたので、しばらく手伝いに。人使いが上手い総領事だと思いながら英語が苦手な方の記入を手伝い。














荷物には麻薬犬による検査と消毒液のスプレーがなされた。
領事館職員が、出国する日本人、フィリピン人への対応を行う。
10時前にゲートに邦人らが並び、最終の確認がなされた。
1015分、空港に到着後1時間で国軍機C295が爆音とともに離陸。
        
     
     

なお、輸送機の離陸はスピードが速すぎ、また夜間で暗くもあり撮影できず。

帰り道、SM Lanang のチェックポイントで警備中の警官に止められた。
外出禁止時間帯に移動をしていたためであるが、通行許可しても良いという三輪総領事の署名入りの「手形」を頂いていたため、事なきを得た。


     



領事館で待っている間に関係者にインタビューをおこなった。以下に、退避をする人(家族)、調整を行った総領事、及びミンダナオ日本人商工会会頭の3名のコメントを掲載する。

ダバオ在住16年の松田陽子(43)は、配偶者と2人の子供(11才、9才)を含む家族4人で退避した。「2日前に退避の連絡が来たが、本当に飛行機が飛ぶと連絡があったのは当日で、それも時間が変わった。決まらない時間が一番きつかった」と話した。帰国には健康診断書が必要になるが、ダバオ総領事館が急遽の現地の医者を動員し、熱や脈の測定、問診を行い証明書を発行する措置を取った。松田陽子さんによると、彼女を含め20人以上の邦人がこれに受診したとのことである。
三輪総領事の話 「自国民を守る国軍でありながら、日本人のために支援してくれたことに感謝している。それ以外に、ダバオ市ならびに観光省に感謝している。そもそも観光省が帰国希望者の登録制度を始めており、その情報を総領事館のHPでも流した。二十数名の方が、いることを把握しており、セブの日本人会がチャーターした飛行機に乗せてもらえるように調整した。空軍機のチャーターは比国政府からの友好で無償。現在は厳しい処置が行われているが、中央地方政府に出来るだけ協力して、一刻も早いコロナウイルスの抑え込みを期待している」と語った。

三宅一道(43)(ミンダナオ日本人商工会会頭)「総領事館動いて頂き、会員企業とも連携して帰ることが出来てほっとしている。」

以上、整然としたオペレーションであった。

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