ダバオ市封鎖(ロックダウン)の様子 (3/30)

ダバオ市にて封鎖(ロックダウン)にあっており、その様子(3/23~3/30)についてお伝えします。フィリピンには合計約15年いますがロックダウンとは聞き慣れない言葉です。似たような状況で「戒厳令」(Martial Law)ならばたまに耳にし、実際にミンダナオ島ではISISとの戦闘のため約2年半(2017年5月23日~2019年12月31日)戒厳令下にあり、外務省の渡航制限が引き上げられていました。

今回は新型コロナウイルスのため都市封鎖ですが、住民は従順で封鎖行政は規律正しく行われている印象です。近隣の市町からの流入はストップされ、またダバオ市から外へ出ることは可能ですが、戻ってくることは市長令20号(3月23日発行)で禁止されました。

住民
Stay at homeを従順に実践しています。外出しているほぼ100%の住民がマスクを着用し、また夜間の外出禁止も概ね守られています。

市場・食料雑貨店
買い物のための外出は認められています。しかし60歳以上は入ることが出来ません。入り口で年齢が聞かれ、SMでは生年月日を記載した身分証の提示が求めらました。

暴動は発生していない。公設市場にも23日、26日とも公設市場は通常通り、30日(日)午後SM Lanangはむしろ空いており、レジで並ばずに支払いが出来た。ほとんどの市民は、ある程度の買い貯めを済ませてしまっているものと思われます。

病院
頭痛で2病院を訪問。どちらも受付が野外に設置され、室外・室内とも患者同士が隣り合って座らない工夫がしてある。患者はむしろ普段より少ない。Covid-19には公立病院のSPMC(Southern Philippines Medical Center)が対応している。

「封鎖行政」が規律正しく実施されている理由について
1) ドゥテルテ大統領の出身地ダバオ市およびミンダナオ島では、対麻薬戦争、対ISISで戒厳令や緊急事態慣れしている。
2) 住民の大統領、自治体の首長への支持率が高いことも「封鎖行政」へ協力的な要因と考えられる。


1. コロナ関連の最新情報
1.1  全国
2020328日(土)16時現在
感染者数(陽性):1,075
検査結果陰性:    920
検査結果待ち:    667
死亡:      68
PUI:      804 (Persons under Inspection
参照 https://www.doh.gov.ph/2019-nCoV (3/28 2250分閲覧)

2020330日(月)23時現在
感染者数(陽性):1,546
検査結果陰性:    1031
検査結果待ち:      692
死亡:        78
回復:        42
PUI:       920 (Persons under Inspection
参照 https://www.doh.gov.ph/2019-nCoV (3/30 2340分閲覧)
 2日間で感染者 471人増加、死者10人増加、PUI116人増加

フィリピン国保健省HP https://ncovtracker.doh.gov.ph/
<メモ>
PUI(Persons under Inspection)とPUM(Persons under Monitoring)
PUI(Persons under Inspection):症状+14日以内に中国など渡航歴+濃厚接触の経歴がある者。または、症状+14日以内に中国など渡航歴または濃厚接触の経歴のある者。
PUM(Persons under Monitoring):症状は無いが、14日以内に中国など渡航歴+濃厚接触の経歴がある者。または、14日以内に中国など渡航歴または濃厚接触の経歴のある者。

1.2  ダバオ地方
感染者数(陽性):30
回復:        4
入院中:               20Southern Philippines Medical Center
入院中:               2Davao Regional Medical Center
死亡:                  4

2       ダバオ市封鎖の状況
2.1  市場/ショッピングモール
3/233/26に公設市場へ、3/29に大型ショッピングモール(SM Lanang)行ったが、生鮮食品、穀類は通常通りの品揃え

1)アグダオ公設市場(3/23) Agdao Public Market
   特に普段と変わらない。



2)アグダオ公設市場(3/26) Agdao Public Market
入り口にゲートを設け、拡声器を持った男性が案内。
「社会的距離を取って並ぶように」「手をアルコール消毒するか洗ってから公設市場に入るように」「60歳以上は入場禁止」と案内。
住民は従順に行列を作る。
地面には、「社会的距離」を示す白線がペンキで引かれていた。


60才以上は市場への入場は禁止。

入場前に手洗いを要求された。

普段通り

 

小ぶりのマグロ

社会的距離を示す白線


3)SM Lanang Premier(3/26)
3/26の午後1時。SMは、スーパーマーケットのみ営業。
社会的距離をとって行列に並ぶ。約50m。

4)SM Lanang Premier(3/29 )

    
    3/29 の午後4時。行列なし。
     
通常通り

米も豊富

アルコールは売り切れ

トイレットペーパーは十分あり

マグロのカマ

ちょっとふざけたディスプレイ

レジに並ばずに済んだ。

普段より客が少ない印象

ほどほどの量を購入している。
非常識な買いだめは見当たらなかった。

2.2  病院
3/23に頭痛のため、Davao Doctors Hospital、その後セカンドオピニオンをもらいに、Metro Davao Medical & Research Center, Inc.へ行く。
1) Davao Doctors Hospital
受付は外。
ベンチは離れて座る。
受付係は、マスクに、フェースガードを着用。
Davao Doctors Hospitalの野外に設置された受付


患者数は少ない印象。ベンチは1つあけて掛けるように張り紙してあった。
医者との会話は最小限に控えた。彼女のエネルギーを奪わないために。
写真も向けていない。知り合いに脳神経科医がいて、そのためにわざわざこの病院まで来たが、不在のため若いレジデントドクターに診てもらった。

 医者:どうした?
 太田:頭痛がする。 
 医者:いつからだ?
 太田:昨日だ。
 医者:どの辺が痛む?
 太田:後頭部。
 医者:あ、そう。目はかすんだりしないか?
 太田:しない。
 医者:ストレスか何かだろう。薬出しておく。
 太田:CTを撮って欲しいのですが。
 医者:そこまでする必要ない。
 太田:わかった。ありがとう。

薬局も患者は少なかった。
医療崩壊は起きていない。
医療費は700ペソ(約1500円)
Davao Doctors Hospital外観

2) Metro Davao Medical & Research Center, Inc.
セカンドオピニオンを求めて2つめの病院へ。
受付は野外。ベンチは離れて座る。
受付係は、マスクに、フェースガードを着用。
大きな扇風機が設置され、換気に気を遣っていた。

医者にCTを撮って欲しいと頼んだら、「OK処方箋は出しておく、だけど頭痛が続くようなら来ればよい。いつ来ても良い」と親切に対応してもらった。
CTと薬の処方箋だけもらって帰ってきた。
患者数が非常に少なく、医療崩壊は起きていない。
医療費は514ペソ(約1100円)

受付は野外。14日間の渡航歴は聞かれる。
   
隣り合って座らない工夫

  
軒下の野外で問診。扇風機で換気。


3.3  その他(街の様子)
市内を歩く人は、ほぼ100%マスクを着用している。
マスクは路上で販売。
マスクの販売

医療関係者が使っていたフェースガード
布製で、ウイルスを防ぐ目の細かさは無いが、自分の口からは飛沫を出さないエチケットのような「常識」「共通認識」のような感じを受ける。
全体的に、非常に従順に従っている。日銭で、給料が少なく内心かなり焦り心配している人も大勢いることは想像に難くない。
こちらの食糧雑貨店でも社会的距離を取って並ぶ(3/25)

3/16に小包(焙煎珈琲)をマニラの友人に送ろうと郵便局に行ったが「国内線が停止しているため遅くなるよ。発送は4/14以後よ」と言われ断念。
Victria Mall内のPost Office。Friendly。
郵便物は、国内線が16日から4/14まで止まっているため郵便局に留め置きになる
また公共の交通機関(ジープニーなど)も止まっているため、実際に多くの会社が在宅ワークまたは自宅待機を行っている。

コンビニに入店するためには、マスクが義務付けられている。24時間営業のコンビニも、9時以降外出禁止令が出ているため、夜間は休業している。

No Mask, No Entry。マスクが無いと、ガードマンに入店を止められる。
  
写真ではわかり難いが、ビニールのカーテンがひかれ飛沫を遮断

DAMOSA地区のセブンイレブンにて


29日夜にバランガイのバスケットボールコートにいたら午後8時59分にバイク4台に分乗した男性らに帰宅するように声がけされた。これからパトロールに行くようである。

幹線道路では警察が車やバイクを止め、運転手の体温を確認したりしている。
9時を超えると、検問で引っかかり処罰(罰金)の対象になる。

実際に、26日に検問に引っかかった。(ダバオの邦人のセブへの退避のオペレーションのための外出で総領事の署名入りの書類があり補導されることは無かった)

国の法律、大統領令の施行は迅速で、市もそれらに基づいて市長令を発布している。公設市場、病院、警察やバランガイ警察ともかなり真面目に封鎖に取り組んでいる。住民もなるべく家にいて、外出の際も規律ある行動をとっており、感染爆発は起きていない。

しかし、収入を失った人も少なくなく、このような状況が長期化すれば住民も耐えられないはずである。コーヒー生豆を買付けて、ダバオ市まで輸送しなければならない。農民も現金収入が必要なはずである。一方日本でも人の外出が減って需要は減っているはずであり、今年はいろいろ心配である。

夜9時以降~翌朝5時までの外出は禁止。

4月3日追記
正式な呼称は封鎖(ロックダウン)ではなく、強化されたコミュニティ隔離防疫(Enhanced Community Quarantine)です。
マニラやその他地方都市ではロックダウンが行われております。

市長令23号が交付され、一段と厳しくなります。
外出のためのパスをこれからバランガイ役場までもらいに行ってきます。

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